源氏雪月花

 天保十三年(一八四二)三月、初代杵屋六翁(四代目六三郎)作曲。「源氏物語」五十四帖の題名を四季・雪月花折々に纏めた歌詞で、作詞は正本名題下に六翁述とあるので作曲者自身と思われます。

 曲は全曲三下りで品の良い優雅な曲です。〽︎松風や」の鼓唄で始まりオキの感じで〽︎山も白妙」で改まります。〽︎筏に組し」で川の流れ、〽︎又鈴虫や」で虫の声など歌詞に即した凝った手付が各所にあります。〽︎辛き朝顔」のクドキ、〽︎薄雲や」のオトシ合方、〽︎鴬の」より踊り地、〽︎手いけの花」よりチラシとなります。

 松島庄十郎家に代々伝承されてきました。(プログラム解説文:稀音家義丸師記述)

演奏:2020年9月12日 於:紀尾井小ホール

  唄:稀音家義文 稀音家義香 稀音家義女
三味線:稀音家一宣 杵家七可佐 杵家弥七東生 杵家陽子