瓢箪鯰

(ひょうたんなまず)

 文政11年(1828)3月、中村座「水滸伝曽我風流後日狂言」第二番目大切で四代目 中村歌右衛門が演じた九変化所作事「拙筆力七以呂波(にじりがきななついろは)」の一曲で常磐津と掛合で演じられました。作曲は四世 杵屋三郎助(後、十世 杵屋六左衛門)で作詞は二世 瀬川如皐です。角書に「登庸(おとりたて)の御めぐみ御ひいきにすがりて」とあります。
 内容は化政期を代表するような洒落たケレン物で、鯰に縁のある色々の事柄や地口や縁語が並べられた洒落た歌詞で、唄三味線もそれに合わせて巧みに作曲されています。大津絵に瓢箪鯰の画がありますが、男ではなく猿になっています。地震は鯰が原因という事で猿が瓢箪で抑えていて猿知恵という表現です。「泊りは沼津」を「鯰」に、「暫」の鹿島入道震斎の鯰坊主、「廓文章」の吉田屋、飴売土平など上手く洒落ています。終の〽︎腕もじって」は研精会系では省略するのでこれに従います。(プログラム解説文:稀音家義丸師記述)

演奏:2019年9月21日  於:紀尾井小ホール

  唄:稀音家義丸 杵屋勝彦
三味線:稀音家助三朗 杵屋浩基(現:杵屋勝九郎)