天下る傾城

(あまくだるけいせい)

 文化12年(1815)三月、中村座「五大力艶湊(ごだいりきいろのみなと)」第二番目大切に上演された三代目 中村歌右衛門の九変化所作事「其九絵彩四季桜(そのここのえさいしきさくら)」の冬の部の曲で、初世 杵屋勝五郎作曲です。狂言作者は福森久助と篠田金治です。
 曲は三下り鼓唄で始まり、次の〽︎二八十六」は宝暦3年6月のメリヤス「むけんの鐘」で現在は義太夫「ひらがな盛衰記」で使用されています。〽︎花の都」から〽︎五月闇」迄がクドキに相当する所で助六にからんだ歌詞になっています。本調子〽︎文月の」より〽︎一時雨」迄がオンドで美しい旋律で上手い作曲です。上方狂言の殺しの場によく使われています。ここ迄が「江口の君」で、この後から「牡丹の石橋」となります。
 「若菜摘」と同様に二曲を一曲としています。このクルイが他の獅子物と変わっていてクルイの中に唄い込みをする特色があります。(プログラム解説文:稀音家義丸師記述)

演奏:2019年9月21日  於:紀尾井小ホール

唄:杵屋勝彦 杵家弥佑 杵屋三七郎(現:塩原庭村) 杵屋利次郎
三味線:杵屋佐之義 東音大宮悟 東音高橋智久 杵屋史弥
笛:福原友裕
小鼓:望月正浩 望月太左幹
大鼓:望月左太寿郎
太鼓:望月秀幸