(とうせんきょう)
投扇興はご存知と思いますが江戸時代から伝わる遊戯で、桐の小箱に蝶と言う紙に縮緬を張り、錘を両端につけた物を立て、開いた扇を投げて的の蝶を落とし扇の開き方や的の落ち方で点をつけますが、この採点には「源氏物語」五十四帖の題名が付けられています。曲はそれにより各題名の名が歌詞に唄い込まれています。
名古屋本(名古屋出版の正本)によると、明治二十五年(一八九一)九月、三代目澤村訥升と三代目市村九蔵が名古屋西川鯉三郎振付で演じた「慕紫四季彩(しとうむらさきしきのいろどり)」で、作曲は杵屋六松斎(二代目六松の隠居名)。
曲は本調子〽︎それ舜王の」の扇の由来に始まり、〽︎舞扇」より二上り、〽︎薄墨色」のより三下り、〽︎秋はさやけき」より本調子になります。(プログラム解説文:稀音家義丸師記述)
演奏:2020年9月12日 於:紀尾井小ホール
唄:杵家弥佑 塩原庭村 杵屋利次郎
三味線:杵屋勝九郎(杵屋浩基 改め) 東音高橋智久 芳村伊十治郎
笛:福原友裕
小鼓:藤舎呂裕
大鼓:藤舎呂凰
太鼓:望月秀幸