天明四年(一七八四)十一月、江戸中村座『大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)』。伊東祐親の娘辰姫(三桝徳次郎)が頼朝への恋を北条の娘政子に譲り、髪を梳きながら嫉妬の念に狂わしくなる場面に使われたメリヤスで、初代桜田治助作詞、初代杵屋佐吉作曲と伝えられています。蓮如上人作詞という説もあり、地歌にも同曲があり長唄が先か地歌が先かで論争があります。
この曲は初演者の湖出市十郎が広めたと伝えられて、湖出家では大事な曲とされているので今回取り上げさせて頂きます。(プログラム解説文:稀音家義丸師記述)
演奏:2020年9月12日 於:紀尾井小ホール
唄:湖出市十郎(稀音家義丸こと) 杵屋勝彦
三味線:稀音家助三朗 東音大宮悟